<肌トラブル>アトピーの子どもにしてあげられること①【心構え編】
アトピーとは、ギリシャ語で「奇妙な」「場所を特定できない」という意味を持つ、まさに、その原因がはっきりしない皮膚疾患です。日本人だけとも言われることもあるようです。
成長の段階によって症状が違うアトピーは、決して治らない病気ではありません。
ただ、簡単に治らないのも事実で、特に、乳児、幼児のアトピーは、子ども自身がかゆみを我慢したり、食生活に気をつけたり、意識的に動けない分、おかあさんからのケアがとても大事になります。
このコラムでは、アトピーを子どもの頃から経験している筆者が、アトピーを持つ側から、その症状や気持ち、こういう風にケアして欲しいなと感じることを、できるだけ本人の目線で書きながら、それを知ることで、治してあげたいと思うおかあさんたちの気持ちが少しでも楽になってもらえたらと思っています。
アトピーは、原因不明の病気。だから誰のせいでもないんです
赤ちゃんや小さな子どもがアトピーになると、どうしても治してあげたいとおかあさんなら思いますよね。でも、アトピーになる原因は、はっきりとは分かっていないので、何もせいでも、誰のせいでもないことなんです。おかあさんがあまり神経質になってしまっては、その思いがお子さんに伝わり、おかあさんがこんなにがんばっているのに、治らない自分が悪いのかな、と、小さな子どもは考えてしまうこともあるようです。
さらに、乳幼児で発症したアトピーが幼少期をすぎてなお長期化することは、あまりありません。多少の忍耐力は必要かもしれませんが、目の前のお子さんの症状にうまく対処していくようにすることを、まずはやっていってみてはいかがでしょう?
一番身近な刺激は、自分の髪の毛
アトピーが出ると、とにかくかゆいから、かいてしまうのは仕方がないなと思います、小さいお子さんならなおのこと。かいてしまうことで、皮膚組織が壊れ、肌のうるおい機能が働かなくなり慢性的に乾燥し、肌にわずかに触れる髪の毛やほこりにも敏感に反応して、さらにかいてしまい、チリチリした痛み、肌の上を何かが這うような感覚や、乾燥しすぎて肌がひきつるような感覚などがあります。
一番よく肌に触れて刺激になってしまうのが、実は、自分の髪の毛です。アトピーの肌は本当に敏感で、ほんのわずかな接触でもすごいかゆみを引き起こします。髪は短くしておくか、できるだけ顔のまわりや首にかからないようにしてあげてください。
ステロイドなどの塗り薬を恐がらないで
自分が発症している時、漢方の先生から強く言われたことがこれです。
ステロイドを塗ると悪化すると思って使わない方がいますが、逆効果です。アトピーになるのは、かいてしまうことで、皮膚組織を壊し、保湿力や肌の再生能力を奪ってしまうことが問題なので、薬をうまく使って、かゆみを抑えてあげることはとても大事です。小さなお子さんは絶対にかゆみを我慢できないので、ムリヤリ我慢させてもイライラが溜まり、さらにアトピーは悪化します。
ちなみに、塗り薬を塗る時は、おかあさんの指にうすくのばしてから、お子さんの肌に薬をちょんちょんと置いていくような感じでつけます。肌の上で伸ばしながら塗るというのは、患部を触ることなので、接触面も多くなり、かゆみを引き起こしやすくなります。
「治るから大丈夫」と、楽な気持ちで
ある細胞研究者の人の本にあったのですが、6歳くらいまでの子どもは、私たち大人が想像する以上に、まわりにあるものを何でもそのまま受け入れるんだそうです。よって、感情などの見えないものも受けてしまっているそうで、いつも一緒にいるおかあさん、おとうさんが、「この子がかわいそう、治らないかもしれない…」などの否定的な感情を持つと、何でも受け入れてしまう子どもにも、治らないかも…という否定的な感情を植え付けてしまうそうです。
アトピーは、ひどく掻きむしることを続けなければ、充分、きれいな肌に戻ることはあります。「だから、大丈夫」ということを信じて、もし、神経質になっているかな、と思ったら、できるだけ楽な気持ちでお子さんに接してみてあげてください。
筆者のご紹介
子どもの頃からの自身のアトピーを治すため、病院通いや様々な方法を試行錯誤した経験と、体質について学んだ漢方の知識、15年以上携わった化粧品会社でのスキンケア商品開発経験から学んだ肌のことをベースに、スキンケアに関する情報発信や化粧品の開発・販売を行う。ドクターが所属するスキンケア情報サイト・スキンケア大学でもコラムを執筆中。
オー・リーブ・ジャパン株式会社 代表取締役
漢方上級スタイリスト
オリーブオイルソムリエ
澄(スミ)クリアローションHP